クリエイターズファイル

津守優子/TSUMORI YUKO

運筆家・墨絵師  益子町大沢在住/福岡県出身 大分県緑ヶ丘高校で日本画を専攻。京都でパートナーでもある着物図案家の津守順とともに20年過ごし、制作活動に携わる。2000年益子に移住。2006年津守氏他界後も画風を引き継ぎ制作を続ける。

着物や帯を中心に墨絵を描く。他に、「もっと日常的にカジュアルに墨絵の世界に親しんでもらいたい」という思いから、Tシャツやエプロンドレスなどの布もの、ポストカードやタペストリー、扇子などの紙ものも制作する。1995年より毎年、恵比寿三越にて年に一度個展を開催。 

 

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2006年に公私共にパートナーであった津守順氏を亡くした後も、

氏の画風を引き継ぎ、制作を続けてきた。

愛する人を亡くし、悲しみでいっぱいでも、外の世界に目を向ければ、

桜は咲くし、新緑は鮮やかに勢いよくやってくる。

そして日々が続いていくのは、あたりまえのこと。そう気づいてから

毎日、筆を持って、墨をすって、ただ淡々と紙に向かっていくしかないと思っている。

 

草花を描くことが多いが、同じ花でも、その時々で表情が変わり、

表現の仕方で絵柄も変わってくるという。

墨の濃淡や筆の運びに、書く側の持ち味が出る。

その時の想いや、その時の勢いが、薄墨の中に現れる。

その中で、そのときにしか描けない絵の表情を出していきたいと言う。

自らが描く作品との一期一会。

その世界に共感してくれるお客さまとの出会いもまた、一期一会。

新しい出会いを紡ぐために、春も夏も秋も冬も、墨をすって、筆を持つ。

 

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写真 前田幸恵