クリエイターズファイル

鈴木稔/SUZUKI MINORU

益子町芦沼在住/埼玉県上福岡市出身 
早稲田大学教育学部卒。大学のサークルで陶芸を始める。
24歳で益子へ移り住み、高内秀剛氏に師事した後、独立。 
益子での作品取扱店:佳乃や、スターネット 

追い求める理想の先に

器 何が本当にいいんだろう? 何が人の心に訴えかけるんだろう?
「焼き物とはこうあるべき」という固定概念にとらわれることなく、
常に自分自身の内なる声に耳を傾けながら、納得のいくスタイルを追求してきた。
ろくろを使った作品には、その時々の作り手の即興的な息遣いのようなものが漂う。
そこにこそ、作家性が表れるという考え方もあるが、どうも自分にはしっくりこない。
ひとつの形を前にして、飽きることなくいつまでも見つめてしまう。
ここをもっと細くしよう、下の方をもっとふくらませよう。
微妙なバランスが気になり、じっくりと時間をかけて
理想の形に少しでも近づけたいという思いが湧く。
だから今は、ろくろを離れて、石膏の割型を用いて成形する方法に専念する。
粘土の塊から作る原型は、叩いて削って磨いて、
自分が納得できる形になるまで手が加えられる。
「即興的な味わいや勢いみたいなものは僕の器には乏しいと思う」と言うが、
まわりに媚びることなく自分のスタイルを貫く潔さが作品に味わいを加え、
ゆるやかな丸みへのこだわりが大きな魅力となって、
暮らしの中で飽きることなく長く愛される器に育つ。
理想を追い求めて形にしたものを、先入観なく素直な感性で選んでくれるお客さんがいる。その出会いを信じて、創作の日々をおくっている。

ポット 焼き物を通していろんな人と関わって、自分の器が他の人を活かし、そして自分も刺激を受けて作品に活かしていくことができれば、と思う。
ヒジノワは、人と人のエネルギーが相乗効果を生む場所。
作品はじっくりと作っていくが、ヒジノワとの関わりは「ノリ」を大切にしたいと思っている。
人との出会いの中で生まれる「面白そう!」「こんなものが欲しい!」という情熱や勢いを大切にしていきたい。

皿花器ポット